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お米は苗からもちろん育てています.伊勢原市では毎年6月に入ると田んぼに水が入り田植えが始まります。私達の農園では5月の第1週目に苗箱に種もみをまきます。
種もみは病気対策として塩水選と温湯処理を行います。塩水選とは、30リットルくらいの容器に水を張り塩を入れ、比重で1.15キロに調整した中に種もみを入れて浮いてきた軽いもみを捨て良い種を選抜する作業です。塩水選の後は手早く水洗いして30分以内に温湯処理に入ります。温湯処理は約60度のお湯に種もみを7分間入れて病気のもとになる菌を殺します。種もみは温度が高い過ぎると死んでしまうので細心の注意が必要です。種もみの病気対策はこの2つの作業だけですがこれだけで稲の最も恐ろしい病気のいもち病と馬鹿苗病の80パーセントは防ぐことはできます。これは農薬と同等の効果です。
その後、種もみは7日間、冷水に浸し2昼夜25℃の水に入れることで催芽させます。
今年は5月3日に種をまきました。育苗箱に入れた土は冬の間に鉄板の上で焼いたものと天然の発酵肥料を2割配合したものです。苗箱には一般的には一箱200グラムの種もみをまきますが、私達の農園では60グラムです。これは、一箱当たりの苗の数を少なくすることで田植えの時に大きくて健全な苗を育てている事が目的です。一般的なやり方では一箱にたくさんの苗があるために苗一本一本が細く貧弱で農薬がなければたちまちに病気が発生してしまいます。
種播きが終わった苗箱はプール育苗します。プール育苗とはプールのように水を張ったところで苗を育てることです。これにより病害虫の危険が減り、稲の根は田植え後にすぐに根付くことができるようになります。
田植えは6月に入り、他の農家の方が田植えが終わりそうな時にはじめました。田植え前には除草剤の代わりに米ぬかを撒いてから代かきをしました。米ぬかは水中で有機酸を発生させて雑草の芽を抑える働きをします。


田植えが終われば後は草との戦いです。他の農家は田植え後に除草剤を撒けばもう収穫まで田んぼに入る事はありませんが、私たちはそういう分けにはいきません。雑草との戦いの第一ラウンドです。田植え1週間後に稲の株間に田車を通します。昔はこれが当たり前でしたが、この作業はとても体に堪えます。1反(300坪)当たり2時間くらいですが田んぼのぬかるむ中を雨が降ってもやらなければなりません。そして田植え3週間後にもう一回、田車を通します。二回目の田車除草は雑草が大きくなっているとなかなか前に進まず心臓がバクバクしてきます。この日の為に冬の間、マラソンで足腰を鍛えました。
7月に入ると雑草との戦い第2ラウンドが始まります。伊勢原では7月の末に中干しと言って田んぼから水をぬいて乾かす作業をします。そうすると雑草の根っ子は田んぼに強く張って抜けなくなるのでそれまでに草取りをします。早い時は朝4時から日が暮れるまで雑草を手で抜きました。地道で単調な作業なので自分との戦いです。長時間同じ体勢なので腰がつらくなってきます。だんだんと雑草の根の張りが強くなってきて肩が痛くなるので思うようにすすみません。焦りやため息、おいしいお米ができるかどうかという不安、草むしりをしながら考える時間はたくさんありました。
8月末、稲から穂が見えはじめました。草むしりの疲れが癒される気分になります。
9月、雑草との戦い第3ラウンドです。取り損ねた雑草のヒエを取らなくてはなりません。稲も大きくなっていて雑草を取るためにしゃがむと稲の葉が顔を傷つけます。顔を布で覆って雑草取りです。ですがもう収穫間際です。草取りも楽しい気分にさせてくれます。

